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片眼遮蔽膜・レンズ

「複視」に関するお問い合わせをいただくことがあります。

通常であれば、

右眼で見ている像と  左眼で見ている像とを 
   
脳の中で1つの像として 
 

合成(融像)することができるのですが、
複視の場合は、それができないために、
上下・左右・斜めといったふうに、
像が2つに分かれてしまいます(両眼複視)。

   

このような複視の場合、「プリズムレンズ」を使うことで、解決できることが少なくありません。

見る方向によって、像のずれかたが異なる、
たとえば「右方向を見たときと左方向を見たときとでは、右方向を見たときのほうがズレが大きい」といったような場合は厄介ですが、
「正面視時のズレを最小にする」といった感じで、
100%の解決はできなくても、幾らかはマシな状態に持ってこれることもあります。

しかしながら、片眼の像が回旋してしまっているような場合は、

右眼で見ている像と 左眼で見ている像
   
回旋している像をプリズムレンズで水平にさせることは困難なので、
 

ズレを解消することは難しいです。

また、眼疾患で、どちらかの眼の像に歪みが生じているような場合は、

右眼で見ている像 左眼で見ている像
   
位置のズレは整えられても  
 

片眼の像の歪みがそのままなので、煩わしい見えかたになります。


このように、レンズを用いても快適な「両眼単一明視」つまり、
「両眼で、1つのものを1つのものとしてハッキリ見る」ということができない場合
というのが少なからずあるわけです。

こうした煩わしさを解決するためには、
最終的に「片眼を閉じる」という選択肢を取らざるを得ません。

とはいうものの、実際に片眼を閉じ続けているのは大変ですから、
「片眼を見えにくく(見えなく)する」ほうが合理的です。

「眼帯をする」という手もありますが、眼鏡装用されている場合に
「片眼のレンズを見えにくく(見えなく)なるように加工する」ということが可能です。

その1つが「遮蔽膜(オクルージョン)」の利用です。
「バンガーターフィルター」などと呼ばれることもあります。
レンズの透明度を落とすためのフィルムを、遮蔽したい眼側のレンズに貼りつけます。



「どれくらい見えにくくするか」は、フィルムの透明度を変えることで調整できます。
ほとんど透明のものから完全遮蔽まで、10種類がございます。

視力0.6程度  視力0.3程度  視力0.1程度 
     
 視力0.1未満 LP(Light Perception : 光覚)   完全遮蔽
     

この「遮蔽膜」は、粘着テープで貼り付けるのではなく、
水の表面張力を利用するので、
貼ったり剥したりは容易にできますし、
汚れてきたら新しいものに貼りかえればよいわけです。
試しにやってみて、具合が悪ければやめるということもできます。
お値段も手ごろと思います。

当店での販売価格は、3枚入りで4,500円(税込)。
1枚の大きさは6cm×6cmです。

貼り付ける大きさを自由にできますから、
レンズの中央部分だけとか、左3分の1だけなどといったように、
ズレの大きい視方向や、歪みのひどい位置のみに貼り付けることで、
視界を確保することが可能です。

当店では10種類のすべてを在庫しているわけではありません。
在庫のないものは、お取り寄せになります。


このページをご覧になられたかたから、通販のご依頼を受けることが少なくありません。
申し訳ありませんが、当店では通販は行なっておりません。
近隣の眼鏡店さんで、取り扱いの有無・取り寄せの可否をご確認ください。
また、ご使用にあたっては、「片眼遮蔽することの是非」を眼科でお尋ねされるのが安心かと思います。



もう1つは、「レンズそのものを曇りガラス風にする」という方法です。
「オクルージョンレンズ」と呼ばれたりします。
東海光学の「OCLUA オクルア」というレンズを当店では使います。

 通常の透明レンズ オクルア 
   

物体から離してしまうと、上図のように
曇りガラスを通したような見えかたになりますが、紙の上に置くと、それなりに透けて見えます。
 
この特徴を利用したレンズなので、フレームに片眼だけ組み込んだとしますと、第3者からはこんな感じに見られます。  

レンズに色をつけると、左右差が幾らかマシになるように感じます。

 
   

発売当初から改善され、現在は染色のバリエーションが増えました。

 実際の納品例(お客様の許可をいただいて掲載しております)
ロイヤルブルー50%ハーフ染色 度なし
   

他眼のレンズとの厚みを近づける、という目的で、
オクルア自体に度数を入れることができるようにはなりましたが、
決められた度数しか設定できませんので、
他眼とは大なり小なり厚みの差が生じます。、

1.60球面素材なので、フレーム形状によっては、
組み込んだ後のフレームの印象が若干変化したり、
組み込み自体がやりにくい場合もあるかと思います。

また、常時曇りガラス状になってしまうことや、
遮蔽膜より割高になることなどといった点にも注意は必要ですが、
遮蔽膜よりお手入れがしやすく、同程度の透明度の遮蔽膜よりも
自然な外見に近づくのはメリットだと思います。

当店でのオクルアの価格は1枚10,000円(税込、染色希望の場合は別途加算)です。
反対眼のレンズも新調する場合は、そちらの料金もかかります。
納期は約1週間です。


当店は「両眼視(両眼単一明視)を踏まえたメガネ作り」を標榜しておりますので、
このように「両眼視を放棄」させることは、「短絡的な逃げの一手」と考えられるかもしれません。

また、遮蔽することで視性刺激を遮断してしまうことについては議論の余地があると思います。

かといって、両眼視があるがゆえに非常に煩わしい、あるいは危ない環境下での生活を強いられているのであれば、それはそれで理想的な状態とは言えないでしょう。

成人のかたが、必要に応じてこのような「片眼遮蔽メガネ」を利用されることは、
生活の質を向上させていくという観点からは、私は「あり」だと考えております。

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