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「乱視」 (Astigmatism)

眼の経線により屈折力が違い、外界の一点から出た光線が眼内で一点に結像しない眼の屈折状態」   

                         所敬・金井淳 『現代の眼科学』 金原出版より


近視や遠視なら、どこかに焦点が合いますが、乱視の場合は焦点が一つに定まりません。
ゆえに、はっきり見えるところが見つかりません。

 
 

通常、乱視といえば「正乱視」のことを差し、これは円柱レンズ(シリンダーレンズ)によって矯正されます。

また、角膜や水晶体の屈折面が不均衡なために生じるものを「不正乱視」と呼びます。
これは円柱レンズでは矯正しきれません。
コンタクトレンズによる矯正が有効な場合があります。

乱視は、いわば、方向によって度数が異なる状態です。

「弱い近視と強い近視」の組み合わせ、「弱い遠視と強い遠視」の組み合わせ、「近視と遠視」の組み合わせ、などなど、度数のタイプや方向により分類されますが、いずれにしても、ピントのはっきり合う場所が見つからないため、煩わしいのです。

特に遠視系の乱視の場合は、調節機能により大きな負担がかかります。
(ビデオカメラのオートフォーカスがうまく働かなくて行ったり来たりしているような状態を思い浮かべてください。とっても疲れそうですよね。)

乱視があると、下図のような見え方になります。(あくまでもイメージです。)

正視眼であれば、均等の濃さに見える放射状の線ですが、、、 
① 縦方向の線が濃く見えます。
(こういう見え方のする乱視を直乱視と呼びます)
② 横方向の線が濃く見えます。
(このような見え方のする乱視が倒乱視です)
③ 斜め方向の線が濃く見えます。
(このような見え方のする乱視が斜乱視です)

このように、乱視があると、方向によって見えかたが変わってきます。

このため、視力検査や実生活において、特徴的な見えかたを呈することがあります。


「直乱視」の場合、
ランドルト環の上下の切れ目はわかりやすく、
左右の切れ目はわかりにくくなります。 

 

「倒乱視」の場合、
ランドルト環の左右の切れ目はわかりやすく、
上下の切れ目はわかりにくくなります。 

 

「倒乱視」の場合、
縦線がボケて見えるため、
カタカナの「ニ・コ・エ」が
すべて「ニ」のように見えてしまったりもします。

 
 

「乱視がありますね」とお伝えすると、ショック受けられるかたがたまにいらっしゃいますが、乱視があること自体は珍しくないといいますか、むしろ乱視がまったくないというほうが珍しいと思います。

それから「月が二重に見えるから、乱視だ」などとおっしゃるかたがいらっしゃいますが、必ずしもそうとは限りません。
近視や遠視の度数がそれなりにあれば、そのように見えることはあります。

また、「片眼で見れば1つの月が、両眼で見たときに二つに見える」ということであれば、両眼のチームワークに不具合がある可能性が高くなります。


弱度の乱視、特に「単性乱視」と呼ばれる「正視と近視」「正視と遠視」の組み合わせによる乱視の場合は視力が結構得られますので、そのまま放置されるケースも多いです。

ただ、乱視をメガネで矯正しようとする場合、空間の違和感、たとえば「床が浮き上がって見える」とか、「壁が傾いて見える」といった感じを覚えることが、近視や遠視の場合より多いようです。

これは、より強度数の乱視を矯正しようとすればするほど起こりやすくなる現象です。

最終的に、この違和感に慣れてしまえば、何ら問題はないのですが、年齢が高くなるに連れ、適応力が落ちてくるのが一般的です。

そうすると、「違和感なくかけられるメガネをつくる」ためには、乱視の度数を弱め弱めに調整しなくてはならなくなります。
その結果、「はっきり見える感じ」は低下します。
ですから、なるべく早いうちに、メガネを装用されることをおすすめします。

これは遠視や近視を矯正する場合も同様ですが、「はっきり見える、眼にとってベストの度数(本当に必要な度数)」と「快適にメガネをかけられる度数」とを、いかに近づけるか、これが度数決定をする上でのポイントです。

場合によっては「最初は違和感が出ますけれど、慣れてくださいね」とお願いすることもあります。
フレーム選び、レンズ選びと同様に、度数を決定するのもお客様と相談しながら行っていく必要があります。

メガネづくりは「メガネ店とお客様との共同作業」で成り立つものです。
お客様の希望を可能な限り満たすことができるよう、せいいっぱい努めますので、よろしくお願いいたします。

 
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