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同時視(Simultaneous perception)
「両眼視機能」という言葉、ごく普通に使っていますが、なかなか奥が深いものでございます。

簡単に言ってしまえば、「右眼と左眼を同時に使い単一物として認識できる能力」です。

たとえば「斜視」であれば、両眼のチームワークが取れていない状態ですから、「両眼視機能異常」と呼ばれますし、「斜位」の影響で眼精疲労に悩まされているような場合であれば、両眼視はできていていも精度が低い状態ですから「両眼視機能不良」と呼ばれます。

両眼視機能を語る上で、よく使われるのがクロード・ワースによる「両眼視機能の三分類」でしょう。
すなわち
①同時視(simultaneous perception)
②融像(flat fusion)
③立体視(stereopsis)

です。

この三つの要素は、下図のようなピラミッドにたとえられます。
通常、立体視が確立されているというのが、両眼視機能が正常か否かの目安となることが多いのですが、立体視というのは、同時視・融像が可能でなければ得ることはできません。
また、同時視ができなければ融像はできません。
逆に、立体視はできるけれど同時視はできないということはありません。


では、同時視というのはどのような状態でしょう。
医学書院の『英和・和英眼科辞典』によれば、
「左右の網膜にそれぞれ異なった像が映った時に、同時に統合してみることができる能力」
と説明されています。

残念ながら、同時視それ自体は、日常視の状態では多くの人は体験できません。
なぜなら、同視視と併せて、融像・立体視が生じてしまうからです。
これを体感するには、特殊な環境(小道具)が必要です。

たとえば、こんな小道具です。(レンズ立体鏡と呼ばれるものです)
このレンズ立体鏡に、このような絵が描かれたカードを設置します。
これを覗くと、右眼には丸、左眼には四角が見えます。
両眼で見ると、たとえばこんな感じに見えます。
(斜視の有無・斜位の大小・両眼のチームワークの精度などによって、丸と四角の位置関係は変わります。)
要するに、右眼で見ているものと、左眼で見ているものとが、同時に見えている状態です。
このような小道具がなくても、手鏡を使うことで同時視の体験が可能です。

こういうふうに鏡をあてて見ると、左眼では正面の景色が、右眼には鏡に映っている景色が見えます。
同時視があれば、正面の景色と鏡に映った景色とが同時に見えるわけです。
斜視がある場合に「混乱視(confusion)」という状態になる場合があるのですが、このような見えかたをしていることになります。


このように同時視というのは、あくまでも右眼と左眼で見ているものが同時に見える状態ですから、両眼複視も同時視をしている状態と言えるでしょう。

両眼視ができていないかたのトレーニングとして、まず必要なのが、同時視の自覚(複視の自覚)です。

同時視ができるというのが、融像を可能にするための前提条件となるわけですが、融像のためにはほかにも条件があります。
それについては、こちらを。
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